橋本武先生という素晴らしい国語の先生がいらっしゃいました。 (橋本先生は、2013年9月11日に101歳で逝去されました。)
テレビなどで取り上げられたことからご存じの方も多いかもしれません。
橋本先生は、トップの進学校である灘校で、中学3年間をかけて『銀の匙』をじっくり読み込むという、 驚くべき授業をされてきた先生です。
その教育哲学に感銘を受け、橋本先生の本を購読しました。
一見、数学とは関係ないように思えますが、先生の教育哲学は、 学ぶ心を駆り立てる自然な人間の学習本能を使ったものだと感じました。
数学の塾なのですが、『国語力』はとても重視しております。
数学ができない子の傾向のひとつとして、“国語ができない” ということが挙げられます。
文章がしっかり読めてないゆえ、問題が正しく分析できない。だから数学の問題が解けないんですね。 ついでにいうと、理科・社会の教科書、参考書なども“しっかり読めてない”といえます。 国語と数学ができないことは、他の教科の足をひっぱります。
また、生徒にしゃべらせることを大切にしております。生徒に説明させるのです。
先生が一方的にこうだよと教えるのが教育ではなく、生徒にアウトプットさせることが大切です。 真に理解が得られた生徒は、的確に説明できます。でも、あやふやな理解のままだと、人が納得できる説明ができません。
きちっと他者に説明する力があって、はじめて力がついたといえます。まさに『国語力』なんです。
橋本先生を知る前から、ずっと実践的な教育をやってみたいと思ってました。
問題集に書いてある問題も面白いのですが、日常の生活や身の回りのありふれたものから、 問題を作れないかと思っております。
たとえば、統計の問題だと、中学の問題は「ハンドボール投げ」や「幅跳び」の記録、 「生徒の通学時間」などがよく問題にでてきます。 それに代わって、たとえばスポーツにおける中学のトップ選手のデータや、五輪選手のデータを扱うと、 体育と結び付けて考えることもできます。一流選手と一般の人は何が違うかが見えてくるでしょう。
私は、体育や音楽は、数学と物理と密接な関わりがある科目で、切り離して別々のものと捉えことは、 とてももったいないと思っております。 数学を基軸として、他の科目を織り交ぜた授業を考えております。